Albumen Kit(アルブミンキット) プリント メール
作者 西丸 雅之   
2007/03/18 Sunday 02:51:47 JST

The Printsから発売された4種類のオルタナティブプロセスキットの一つ。

説明書によれば、アルブミン(いわゆる鶏卵紙)はタルボットによって発明されたカロタイプに使用する紙ネガ部分の改良を目指す中で、1850年フランスのルイ・デジレ・ブランカール・エブラールによって発表された印画法とのこと。
それまでのソルテッドペーパーと比べて、バインダー層として鶏卵の白身を使うことにより格段にコントラストと解像度が向上している。

キットは一つのダンボール箱に収まっていて、必要な薬品と道具はほとんど揃っている。キットの他に必要な物は光源と焼き枠、支持体を留める台板とテープまたはプッシュピン、バット数枚、それと精製水のみ。精製水は薬局で500mlのものが70円程度で売っている。作業に完全暗室は必要なく、日光や蛍光灯の紫外線さえ防ぐことができれば作業は40W程度の白熱電灯下で行うことができる。
鶏卵紙は生卵を使って作ることが多いが、このキットでは卵白がパウダーになっており、水を加えて溶かすだけで使うことができる。

キットに含まれている物
  • アルブミン溶液(溶解後500ml)
  • 硝酸銀溶液 15%(溶解後100ml)
  • チオシアン酸アンモニウム溶液(100ml)
  • 塩化金溶液(100ml)
  • 定着液(溶解後2000ml)
  • アルシュ・プラティーン(8x10インチ 15枚)
  • スポイト
  • メジャーカップ
  • 刷毛
  • ゴム手袋
  • 取扱説明書

薬品の溶解

キットに含まれる薬品の処方は下記の通り。

アルブミン溶液

アルブミンパウダー 70g
塩化アンモニウム 15g
精製水 500ml

硝酸銀溶液(15%)

硝酸銀 15g
精製水 100ml

金調色液

水道水 900ml
チオシアン酸アンモニウム溶液(溶解済) 50ml
塩化金溶液(溶解済み) 50ml

定着液

チオ硫酸ナトリウム 100g
水道水 1000cc


アルブミン溶液ボトルに精製水500mlを加えて約5分間ボトルを撹拌して冷蔵庫に保管。24時間後にボトルを冷蔵庫から取り出し室温に戻します。アルブミン溶液の上に溜まった泡を脱脂綿で濾過した後使用する。

と説明書に書いてあるので、そのとおり精製水を500mlボトルに注いで撹拌。

ふとボトルの底に粉末の固まりができてしまっていることに気がついた....
これはちょっと撹拌したぐらいでは無くなりそうもなかったので、ガラス棒をつっこんでダマを崩す。しかし、溶液に浮かんでしまっているダマはなかなか崩せないので、溶液を口の広い容器にあけ、手でダマを潰していった。
ココアを作るように、パウダーを少量の水で練ってから全量の水を加えると、このような苦労をしなくても済むだろう。
もっともそこまで徹底しなくても、あとで濾過するのだから気にしないでもよいのだろうが、そこは性格の問題かもしれない。

説明書通り溶解後一日寝かせて使用時に濾過する。
写真では普通の濾紙で濾過しているが、とてもこんな紙では時間がかかって仕方がない。
説明書に書いてある通り脱脂綿を使うことをお薦めする。

我が家に脱脂綿がなかったので、このあとガーゼで濾した。

 

コーティング

まずアルブミンのコーティング。バットにアルブミン溶液をあけて、泡を完全に除去する。紙を短冊に切って泡と埃などを端に寄せ、そっとすくいあげる。残った泡は爪楊枝などで徹底的に潰す。

泡が無くなったらそこに支持体を3分間浮かせる。裏面にアルブミンがまわってしまわないように注意が必要。厚手の腰がある紙だと写真のようにカールしてしまうので、カールしないよう端を折り曲げて補強するなどしたほうが良いかもしれない。

3分経ったら泡がたたないよう紙を持ち上げ、吊して乾燥させる。下の方にアルブミンがたれて溜まるので、ティシュペーパーなどで拭い取ろう。

次に硝酸銀15%溶液をコーティングする。硝酸銀は危険な薬品であり、手や物に着くと黒いシミになるので絶対にこぼしたり、たらしたりしないよう心掛けること。

台板にアルブミンを塗布乾燥した支持体を固定し付属の刷毛で硝酸銀溶液を塗布する。8x10であれば4ml。たっぷり塗った方がコントラストもあがり何かと良いらしい。

今回はアルブミンが乾いたらそのまま硝酸銀を塗布したが、紙が波打っているため思うように均等に塗布できなかった。硝酸銀を塗る前に卵白紙をアイロン掛け、あるいはドライマウントプレスにかけるなどして、しっかりシワを取り除いておいたほうが良いだろう。また、硝酸銀は色がないため、暗いとどのように塗れているかが分かりづらかった。

硝酸銀溶液をたっぷり塗るとなかなか染みこまず、乾かないのでしばらくは寝かせたまま置いておく。表面の液体がほぼなくなってから吊すなどしたほうが良さそうだ。

露光

感光液が乾いたら露光機にネガと印画紙をセットし露光。もちろん太陽光でも良い。人工的な紫外線光源と太陽光で焼くのとではプリントの色調が異なると聞いたことがある。なんでも太陽光のほうが良い色にあがるそうだ。アルブミンが現役だった当時は太陽光でプリントしていたわけだから、出来ないことはないのだが、ついつい安定した光源を使いたくなるのは怠慢だろうか?

説明書によれば、ネガは一般的印画紙で0号にマッチし、濃度域が1.7から2.2のネガが良いとある。
今回使用するネガはサイアノのテストでも使ったちょっと硬めの4x5ネガと、パイロで現像したかなり硬いネガ。

露光機に印画紙を置きその上にネガを重ねてセットする。アルブミンは焼きだし印画なので裏の押さえ板が半分分割して開く昔ながらの焼き枠を使うと、途中で露光の具合を確かめられて都合が良い。焼き出された画像は調色、定着の処理が終わると濃度が下がるので、濃いめにプリントしておいたほうがよいとのこと。

焼き出し印画は概ねセルフマスク効果というか、シャドー部の先に出てきた画像がシャドーマスクの働きをして、露光時間を増やしても意外とシャドーが潰れにくいようだ。

うっかり者の私は、完全に乾いてない印画紙でプリントしてしまい、ネガを汚染してしまった。

 

露光が終わったら、予備水洗を20℃の流水で約10から15分行う。
この際に水道水に含まれる塩素と露光されずに残った硝酸銀が反応して塩化銀を生成するため水が白濁することがある。今回のテストでは白濁はほとんどなかった。

以下は説明書より

調色
調色をしないアルブミンは耐久性に欠けるため、定着処理の前に金調色処理をして保存性を高めます。上記の処方で調合した調色液をトレイに移し、20℃の金調色溶液で撹拌しながら6分間処理を行います。プリントを1枚調色するごとに、チオシアン酸アンモニウム溶液と塩化金溶液をそれぞれ5mlずつ加えて調色液を補充します。

定着
調色処理された印画紙を約20℃の定着液で2分間定着処理を行います。

最終水洗
定着処理された印画紙を約20℃の流水で30分間水洗します。

乾燥
最終水洗された印画紙を自然乾燥、またはヘアドライヤーを使用して乾燥させます。その後ドライマウントプレスを使用してプリントを平らにします。

調色液は予め上手くいくものをいただいていたのだが、何故か調色がうまくいかなかった。この辺りはかなりデリケートなようだ。

サイアノタイプ同様に、このキットも入手しにくいものはほとんど揃っているので、ネガさえ用意できればかなり気軽に始めることができる。何と言っても生卵を十数個も使って徹底的にそれをミキサーにかけ、何日も置いておく必要がないのは、かなりの手間が省けることになる。薬品も個人ではなかなか入手しにくいと思うが、必要なだけ小分けで入っているのは、初心者に限らずとてもありがたいはずだ。

従来の鶏卵紙が持つ光沢とコントラストを同じように出すためには、一回のコートでは物足りないだろうと思っていたが、あながちそうでもなかった。卵白紙を事前にフラットニングし、硝酸銀の塗布に刷毛ではなくグラスロッドコーターなどを使うとより効果的だと思う。

サイアノタイプでも書いたが、薬瓶の中蓋が開けにくく、特に硝酸銀のような薬品はかなり気を遣う。金調色液のポリ容器のように、回して開けるだけで済むような容器だと安心感が高くなるのではないかと思う。

西丸雅之


 
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